余韻に浸れるゲームを探している方に、胸を張っておすすめしたいゲームが3本あります。
そのタイトルは、
「ワンダと巨像」
「人喰いの大鷲トリコ」
何となくタイトルを聞いたことがある方も、今回初めて聞く方もいらっしゃるでしょう。
これらの3タイトルは多くの創作者たちに影響を与え、中でも「ワンダと巨像」は、あの米津玄師(よねづけんし)さんが好きなタイトルとして挙げるほどです!
この記事では、「ICO」、「ワンダと巨像」、「人喰いの大鷲トリコ」の3本について、初めて知る方にとってもわかりやすく解説しました。
記事を通して、少しでもゲームをやってみたいなと思っていただけたら嬉しいです。
それでは、次の項目から各作品について紹介していきます。
ICO(PS2、PS3)
角の生えた少年イコは村のしきたりで、いけにえとして霧の城に連れて行かれます。
誰もいない城の中でイコが出会ったのは、鳥かごに囚われた不思議な少女ヨルダ。
イコはヨルダと共に城からの脱出を目指すことになります。
手をつなぐことがゲームの肝
このゲームの肝は、手をつなぐことです。
城の中には、少女ヨルダを連れ去ろうとする「黒い影」たちが登場。この影たちにヨルダが連れ去られてしまうとゲームオーバーになってしまいます。
そのため、イコはヨルダの手をとって影たちの魔の手から逃げ、時には戦うのです。
コントローラーの「R1ボタン」を押すと、イコはヨルダと手をつなぐことができます。
R1ボタンを押し続けていないと、つないでいた手を離してしまうので注意しなければいけません。
ゲームを進めていくうちに、自然とイコに感情移入して、自分がヨルダを守るんだという気持ちにさせられます。
ゲームだということはわかっていても、手をつないでいる間は安心でき、手を離してしまうことが不安になってしまう不思議な感覚がありました。
多くを語らない物語
「ICO」には多くの謎がありますが、作中でそれらのほとんどは語られません。
一般的なゲームなら説明されるかもしれませんが、「ICO」では最低限の情報しかプレイヤーには知らされないのです。
「ICO」は語られないことが多い分、想像する余地が大きいゲームだと言えます。
エンディングでは、そこまでにイコとヨルダが歩んだ道のりを思い出し、余韻に浸ることができました。
シンプルなゲーム
「ICO」は謎解きをしながら城からの脱出を目指すシンプルなゲームです。
作中で特徴的なのは、
これらの点がゲームへの没入感を高めるのに一役買っています。
ちなみに、イコは少しぐらい高いところから落ちても平気なほど体が丈夫であり、体力ゲージが存在しなくてもゲームに支障はありません。
思わず見とれてしまう城の景色
物語の舞台となる「霧の城」は、幻想的で思わず見とれてしまうほど美しい雰囲気があります。
城の歴史に思いを馳せながら、イコやヨルダと一緒に自分も城を探索しているような気分になれるのもポイントです。
宮部さんは無類のゲーム好きで、ICOを大絶賛。宮部さんの方から熱烈にオファーし、まさかの小説化が実現しました。1つの解釈としてICOの世界に浸れるおススメの小説です!
現在は、講談社より文庫化されています。
ワンダと巨像(PS2、PS3、PS4)
青年ワンダは魂を失った少女を生き返らせるため、禁忌とされる「古(いにしえ)の地」へと足を踏み入れます。
そこにある神殿の祭壇に少女を横たえたとき、天から聞こえたのはドルミンという人知を超えた存在の声。
ドルミンは神殿内にある16の偶像と対になる巨像を全て倒せば、少女は生き返るとワンダに言います。
ワンダは愛馬アグロと共に、「古の地」のどこかにいる16体の巨像を倒すことを誓うのでした。
ボス戦オンリーのゲーム
この作品の1番の特徴は、ボス戦オンリーのアクションアドベンチャーだという点!
一般的なアクションゲームの場合、雑魚キャラを倒した後にボスを倒すという形が多いのですが、「ワンダと巨像」にはそもそも雑魚キャラがいません。
それって面白いの?という声が聞こえてきそうですが、これが面白いんです。
雑魚キャラがいない分ボス戦の1つひとつに、これでもかと力が入っています。
16体の巨像は種類が豊富で、戦う状況も巨像ごとに大きく異なります。
戦う場面の違いも面白くて、地上・空中・水上などで戦うことになります。
次はどんな巨像が出てくるのかな?どんな場面で戦うことになるのかな?とワクワクが止まりませんでした。
巨像自体が1つのステージ
ボス(=巨像)自体が1つのステージのようになっていて、プレイヤー操るワンダは巨像にしがみつき弱点を探すことになります。
巨像の体にはヒゲや体毛、突起が存在し、「R1ボタン」を押すことでワンダはしがみつくことが可能です。ワンダがしがみつくと勇ましい音楽が流れ、気持ちを高揚させてくれます!
ワンダが弱点に近づくと、巨像の弱点が紋章として浮かび上がるので、そこに剣を突き立てることで巨像を倒すことができます。
巨像はワンダを振り落とそうと体を揺さぶるので、必死にR1ボタンを押さえて巨像にしがみつかなければいけません。迫力の戦闘と手に汗握る緊張感を味わえるのは、本作ならではでしょう。
美しく広大なフィールド
巨像は「古の地」のどこかにいて、ワンダは愛馬のアグロと共に広大なフィールドを駆けることになります。
ワンダと愛馬アグロが探索するのは、人が足を踏み入れることのない禁忌の地。
かつて繁栄を極めたであろう遺跡や岩山、砂地、大草原といった多くの絶景を楽しむことができます。
哀しくて切ない物語
ワンダの目的は、魂を失った少女を生き返らせること。彼の身体は巨像と戦うたびに黒ずんでいき、表情は苦しそうにすら見えるようになります。
しかし、それでもワンダは巨像と戦うことをやめません。
少女の身に一体何があったのかわかりませんが、ワンダにとってどれほど大切な存在なのかがゲームを通して伝わってきます。
ゲームを進めていくうちに、物語が悲しい結末に向かう予感がしてなりませんでした。
だからなのか、巨像を倒す度に達成感に加えて切ない気持ちになったのを覚えています。
最初に挙げた米津玄師さんを初め、神田沙也加さん、松本人志さんなど多くの有名人にファンがいるゲームでもあります。
人喰いの大鷲トリコ(PS4)
少年が洞窟のような場所で目を覚ますと、目の前には鎖に繋がれ、体に矢の刺さった大鷲トリコがいました。
最初は少年を警戒していたトリコでしたが、少年に助けられたことから心を許すことに。
少年はトリコと一緒に、忘れ去られた巨大な遺跡からの脱出を目指すことになるのでした。
過去2作品の良いとこどりのゲーム
本作は「ICO」と「ワンダと巨像」の要素を合わせ持ったゲームです。
少年がトリコにしがみつく様子は、「ワンダと巨像」を思い起こさせます。
一方、ゲームを進める過程は「ICO」を彷彿とさせるもので、少年と大鷲トリコが協力しつつ遺跡からの脱出を目指します。
「ICO」との大きな違いは、主人公が守る側から守られる側になっている点。少年はトリコと比べると非力です。
もし捕まった場合は、その場でジタバタするかのようにコントローラーのボタンをでたらめに押して、兵士の手を振りほどくしかありません。
そこで出番となるのがトリコ。
トリコは兵士の攻撃など何のその!一気に複数の兵士をなぎ払ってしまうことが可能です。
遺跡の謎を解く際にもトリコの協力が必要で、少年にとってトリコは大きく頼りになる存在と言えるでしょう。
一緒にいると愛着が湧くトリコ
トリコは、犬、猫、鷲などを組み合わせた架空の存在です。しかし、架空の存在とは思えない実在感がトリコにはあります。
本物の動物のように気まぐれなところがあり、主人公の思い通りには動いてくれません。
トリコの気まぐれな点は、ゲームをサクサク進めたい人にとってはイライラする可能性もあります。
一方で、犬や猫と一緒に暮らしている方であれば、トリコを見て共感する部分もあるかもしれません。
少年が取れるアクションには、トリコをなでる動作があります。
「イ~ソイソ」と言いながら、少年はトリコをなでます。
トリコとコミュニケーションを取る手段の1つであり、トリコが興奮した時に落ち着かせる効果もあります。
特に何もない時にでも、ついついなでてしまうことも多かったです。少年にじゃれてくるトリコが可愛かったもので。
少年と大鷲の信頼関係に涙
種族を超えて、お互いを思いやる少年とトリコの関係は本当に尊いものです。
最初の頃は、言うことを聞いてくれないトリコにイライラさせられることもありました。
しかし、物語を進めるにつれて、少年とトリコの信頼関係は深まっていきます。
物語終盤でのトリコの行動は、涙なしでは見られませんでした。
美しい遺跡の風景
本作の舞台となる遺跡では、「ICO」や「ワンダと巨像」に勝るとも劣らない美しい景観を味わえます。
誰が何のために作ったのかわからない建物や塔がいくつもあり、遺跡の背景にある物語を想像せずにはいられません。
どこを切り取っても絵になるので、「ワンダと巨像」と同様に何度もスクリーンショットを撮影してしまいました。巨大なトリコが美しい遺跡の中にいるだけで絵になります。
ゲーム好きの主人公の部屋に、本作のポスターが貼られているのを見つけることができます。もし、映画を観る機会があれば、探してみてくださいね。
生みの親・上田文人さんとゲームの共通点
ここまで、「ICO」、「ワンダと巨像」、「人喰いの大鷲トリコ」の3作品について紹介してきました。
本項目では、生みの親でありゲームクリエイターの上田文人さんについて触れておきます。
彼の関わったゲームはどれもが唯一無二の個性を持っており、中々同じようなゲームを探し出すのは難しいかもしれません。
上田さんが世に送り出した作品は少ないですが、そのどれもが今なおゲームファンに愛され、年月を経ても色あせない魅力を持っているのが特徴です。
ここまでに紹介した3作品には、概ね以下のような共通点があります。
繰り返しになってしまうので詳しくは触れませんが、ここに挙げた3つの共通点がゲームファンの心を捉えて離さないのでしょう。
上田さんのゲームには中々ありつけない!?
「ワンダと巨像」から「人喰いの大鷲トリコ」までには、11年もの年月が掛かっています。
上田さんは出来れば早く出したいそうですが、ゲームとして成立するクオリティに達するまでに時間が掛かるそうです。
「人喰いの大鷲トリコ」が発売された時の嬉しさは今でも忘れられません。
おまけ:取扱説明書のこだわりが素晴らしい!
「ICO」と「ワンダと巨像」の取扱説明書は一味違います。
PS2版を購入した際に付属しており、どちらの説明書も作品の世界観を大切にしたこだわりあるものでした。
「ICO」では、なんと全ページが絵本仕立てになっており、ゲームの操作方法が物語のような文体で記されています!まるで1冊の絵本を読み終えたかのような満足感がある不思議な取扱説明書です。
「ワンダと巨像」では、ページが折り込まれ、仕掛け絵本のような形になっているのが特徴です。
例えば、ページをめくると巨像と対峙した主人公のシーンがあり、折れこまれた部分を開くと、剣をかざした主人公と剣の光で弱点を照らし出される巨像の姿。こんな感じで、ゲームの進め方が解説されています。
「人喰いの大鷲トリコ」にも、少ないページながらも魅力が詰まったチラシが入っていたよ!
まとめ:余韻に浸れるゲームがしたい方にはオススメの3本
今回の記事では、「ICO」、「ワンダと巨像」、「人喰いの大鷲トリコ」について紹介しました。
好き嫌いは分かれますが、私にとってはどれもがいつまでも心に残り続ける作品です。
上田さんは現在新しい作品を制作中とのことです。発売はいつになるかわかりませんが、今からプレイできるのが楽しみでなりません。
もしこの記事を読んでみて少しでも興味が湧いたのなら、是非ゲームをプレイしてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました(^^)